「マイ・カー?カラーテレビ!?なんでえ!そんなインスタントなニセの平和っ!男の生きかたって…もっとほかにあるんじゃないのかっ!?」

FILE#52「虹をよぶ拳」(画:つのだ じろう)



冒険王連載/1969.6月号〜1971.7月号

●あらすじ:
秀才だが運動は苦手の中学生・春日牧彦。彼が空手を始めた理由は、自身を襲った強盗事件がキッカケだった。犯人に対してなす術無く振る舞う父の姿を目の当たりにした牧彦は“父のような弱い男にはなりたくない!”と決意。窮地を救った同級生・赤垣が通う道場「鬼門塾」に入門する。一人息子の身と世間体を気にする両親の反対や幾多の試練に耐え、牧彦は少しずつ成長していく。一方、塾長・鬼門兵介は真剣勝負による空手の大会を開催。赤垣と共に出場した牧彦は準決勝で敗れはしたが、全力を尽くした満足感に包まれていた。大会終了後、慢心から暴力騒ぎをおこした牧彦は家出したあげく、騙されて北海道の山奥で強制労 働をさせられる。絶望的な状況の中で密かに己を鍛えあげた彼は、屈強な監督達を倒し、第2回大会に参加すべく東京に舞い戻る。準決勝で対戦相手を死に至らしめたショックで再び行方知れずとなった牧彦だが、キックボクシング界への参入で苦戦する鬼門塾の為に立ち上がる。一躍日本キック界のエースとなった彼は同門のメンバーと本場・タイへ遠征。自国最高峰の対戦相手との試合を控えた牧彦は師・鬼門兵介に、生涯をかけて空手道を歩む決意を誓うのだった。

●BONはこう読む!:
いわゆる“タコ部屋”以降の展開は、野獣の強さを身につけた牧彦が、よくある少年漫画の主人公として活躍するが、ドラマとしての盛り上がりには欠けていたと思う。むしろ主人公としてはヒーロー性に乏しいが、技術上達を丹念に描いていた“タコ部屋”以前の展開の方が名シー ン、名台詞も多く深く印象に残る。冒頭で述べられていた、3年という歳月をかけて主人公の成長と“断絶”というテーマを描ききれたら…と、路線変更を惜しむ気持ちでいっぱいだ。更に“空バカ”連載の為に(つのだ氏が2誌かけ持ちができない為)中途半端に連載を終了したことも、本作の完成度を下げしまったようでとても残念だ。

●単行本:
秋田書店刊/サンデーコミックス全7巻
マンガショップ刊/マンガショップシリーズ 全4巻

●その他: