「おれは出世も名もいらぬ まぼろしの男でいいが 大きないくさだけはふせぎたい」

FILE#14「まぼろし大将」(画:左馬 一平)



週刊少年キング連載/1965年22号〜31号 資料協力:udara&kudaraさん(感謝!)

●あらすじ:
戦国の世にあって、民・百姓が平和に暮らせる世の中を願う少年・天道虎丸。一国一城の若様であったが、無益な戦により両親を失い孤児となるも、争いごとを憎み平和な世の中を望んで独り生きてきた。野心や欲を持たず、自らはまぼろしの存在として役立とうと、幼い頃から学んだ軍学を使い織田信長や豊臣秀吉の軍を勝利に導く。一方、戦に敗れるも虎丸に命を救われた明智光秀は、自分を救った戦術がかつて学んだ楠木流軍学であることを思い出す。その師・風雲斎を捕らえ、軍師にすべく庵を襲った光秀。偶然居合わせた虎丸の機転で危機を逃れた風雲斎は、秀吉の天下を狙う柴田勝家との争いを防ぐ為、彼に越前行きを命じた。秀吉の陣営に加わり、得意の軍学で勝家を追い詰める虎丸。しかし、手柄を焦った秀吉の家来が、単身勝家暗殺を決行するが失敗。人質として捕らえられてしまった。仲間の命を救うべく乗り込んだ虎丸の活躍で人質は無事救出。秀吉の天下統一を確信した虎丸は陣営を離れ、戦によって親や肉親を失った人々を幸福にするべく、独り旅立った…。この後、虎丸は秀吉の願いによって朝鮮征伐の時に、隠れた軍師として大いに活躍したという。

●BONはこう読む!:
戦国の世にあって、大成する器ではないが野心は人一倍強い脇役・村雨左源太の存在が惜しい。結局は主人公の虎丸に助けられ、彼の功績を譲られる形で出世してゆく左源太。主人公の才能や己の非力を認めながらも、その歪んだ心情を踏み込んで描けば『残殺者』『人間兇器』等、後年の“ダーク梶原ワールド”に先駆けた作品として評価される可能性もあったかもしれない。が、まだこの時期の少年誌には清く正しい者が主人公として活躍する展開が主流である為に、左源太は物語に上手く絡むことなく短命に終わった実に残念な作品である。


●単行本: 未刊行

●その他: