「けちくさい陸の法律より 海の男の法律にしたがえっ わしにつづけっ 白鯨をしとめた男の栄誉に名をつらねよっ!!」

FILE#44「白鯨」(画:影丸 譲也)



少年マガジン連載/1968年33号〜37号

●あらすじ:
北アメリカはマサチューセッツ州にあるニュー=ベッドフォード。この港町を訪れた船乗り・イシュメル少年は、安宿で知り合った銛打ちのクィークェグの協力により捕鯨船・ピークォド号に船員として雇われた。その船の船長・エイハブは、かつて鯨の神・白鯨と呼ばれる巨大鯨に左足を喰われてから復讐鬼となり、船員仲間から恐れられた存在だった。航海後、数日前に白鯨との遭遇で難破船となった船長と遭遇したエイハブは、復讐を決意し追跡を命じる。船員の反発も嵐や落雷も味方につける執念の能力を見せつけることで押さえ込み、ひたすら白鯨を追い求める。数日後、執念は叶い白鯨は突如海面に姿を見せた。もはやそれを倒す意外に生き伸びる術はないと悟り、エイハブを始め船員達は銛を持ち白鯨に挑むが、死者は次々と増えていく。占いにより自らの死を知り、棺桶を用意したクィークェグも鯨の餌食となった。彼の棺桶が浮き輪となり船外に投げ出されたイシュメルは1人難を逃れる。巨体に捕まり銛を突き刺すエイハブが、ピークォド号を破壊し暴れる白鯨と共に海中に沈んでいくのをただ眺めていた。彼は復讐を果たせたのだろうか?それとも白鯨はそんな人間の執念をあざ笑うかのように今も何処かの海を泳いでいるのだろうか…?

●BONはこう読む!:
当初イシュメルの視点から進んだ物語の展開が、エイハブ船長の登場後に曖昧となった事で、作品としての統一感が損なわれた気がする。クィークェグという魅力あるキャラクターが十分に活躍できなかったのも、個人的には残念だった。おそらく本作のテーマは、中盤でのエイハブ船長と(上記あらすじではオミットしたが)スターバックとの会話にあると私は思うのだが、そうなるとイシュメルとクィークェグ存在とその交流には、いかなる意図があったのだろうか…?

●単行本:
講談社刊/KCコミックス 全1巻
少年画報社刊/全1巻

●その他:
メルヴィル著「白鯨」を元に構成。